イエローダイヤ・マン《標榜編》〔286〕昨日俺はお宝を鑑定する番組を観ていて素晴らしい絵と出逢う。余りに自分にビビっときて肝心の苗字をみるのを忘れてしまったが名前は確か高徳という人物でフランスで認められた絵描きだという。きっかりの一千万円の値段が確定で俺はすかさず感動する!!スロットでビッグボーナスを引き当てた感触でその絵が俺の好みであったからだ。美術館など滅多に行かない庶民が唯一ホンモノと出会える番組の脅威に俺は押し黙った。両親も俺の絵や作文を残さずにこういった高尚な趣味を持てば良かったのに。しかしやはり庶民にはわからない。贋物でも恐らく庶民なら指摘すら叶わないだろう。俺は高校時代、さぼって美術で一を取ったことを思い出す・・・。母の悲しみは並大抵ではなく、幾ら説明しようともその場から去らず往生した。俺は反抗心もあって、提出しなかっただけなのに教師は迷い無く一を付けてきた。そうすることが俺を打開すると思っていたのだろう。その通りになった。俺は教師に平伏したのではない。母の涙にびっくりして、自分の意固地な態度を思い直したのだ。