イエローダイヤ・マン《標榜編》〔284〕俺も固唾を飲んで観戦した。九州勢同士の争いで大分と鹿児島代表の延長戦だった。この試合は恐らく甲子園史に残るだろう・・・。そういう思いが強固になったのも九回で三点差を追いついた神村学園がいたからだ。そういう試合は中々ないし、特に延長戦を制したあの大分のセーフティバント駄目押しが利く。普通は一回ダメだったらもうやらないものだ。それをツーアウトでも挑戦したそのメリットだろう。送球が乱れ一塁手が外す。走者達はホームへ雪崩れ込む。最後押し出しであの投手を切ったことが残念でならず、俺はあのボールを何とかストライクに出来ないものか、時間を巻き戻せないか?を真剣に考えた。他者のことについて、ここまでてんてこ舞いにさせるのが、甲子園の魔力なのだろう。あの投手の濃い顔が脳裏に突き刺さったまま・・・。そして大リーグなら?と考えた。大リーグならあのタマは必ずストライク!!だ・・・。なぜならマウンドを湧かせることに審判は踏ん張る。意地悪に見えてその時その時の気持ちなら審判に嘘はない。自分がストライクにしたいときは必ずや、それをするからだ。そういった度量に於いてMLBは負けてない。だから俺をここまで虜にしたのかもしれない。