ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔196〕小学校四年生といえばちょうど世界の様子が知りたくなる学年で、世界地図でニッポンの位置を調べたり海の名前を調べたりそれは大変興味深い授業でした。担任の先生は特にロシアの話を頻繁にしてきて、終戦を迎える寸前ロシアが作戦を翻したことを遺憾に満ちた表情で語るのです。教科書に載ってないことだったので、とても感服し、個人の話であってもこれが担任ともなれば影響力があることを自覚するのです。自分の身辺に関与する出来事だったのかもしれない・・・とまだ、小学生であってもキャロルの心に飛来していたのは人間の記憶の温床についてで、この先生と話すときには、戦争問題は常にロシアが核になるんだな・・・ということで、そのときに自分は心で決めた節があったのです。みんながそれぞれ先の大戦を自分なりの視点で構成しつつ理解をしている・・・という傾向です。個人にはそれぞれの傾向があってそれはおのおのの経験を度外視しては語られず、もしも自分ならどういった展開をしていくことだろう・・・と。まだ、脇田大佐のことも知らされていませんから、それを将来は軸にするなど及べない。しかし思えば母がそのことを隠したからこそ、物事が明瞭になっていった。この経緯も忽せに出来ないなあって。