イエローダイヤ・マン《標榜編》〔218〕青木の二千本安打が日米通算で達成されたようで俺も嬉しい。一位球団アストロズに青木が行ったことが幸運だったし、当時はそれを知るよしもなかった。アストロズといえば万年最下位というイメージがあって、俺はどこかで親近感を抱いていた節もあって、それが着実に去年くらいから頭角を現すようになってきて今年は並み居る強敵を抑えている。勝率トップに躍り出ているのだ。その球団の良さはヒトクチで語るには忍びなく、何よりもまずあの貨車がいい。オレンジを積んでいて、味方にホームランが出ると汽笛を上げて走り出すけれど、一度たりともそのオレンジが貨車から零れ落ちたことがない。もしかしたら、みかんはイッコずつボンドで付けているのかもしれないが、その落ちないオレンジが俺の頭をデラックスにする。もしも一杯積んだオレンジが全部ホンモノで、本当に溢れんばかりに積み重ねているのならたいしたものだと思う。俺はそういう風に細かいところまで拘る自分が嫌でたまらない。小さいときから母にも叱られた記憶はあって自分の眼で近くまで行って確かめないと駄目なのだ。・も・し・・・なら?・・・そして・・・のはず?疑問符が人を望外素敵にする。