サファイア・マン《かけがいのない男編》〔136〕財布がすっからかんになるまでして購入したエコーは上々で、アンプという厳かな機器が元締めでした。中古でこのお値段なのか・・・とため息も漏れてきますが金のマイクがホンマモンになっていくこのアンプ取得からキャロルの考え方は陽転志向に軸を替えていくのです。くやしい結婚でしたが今度なんかあったら、相手を叩き出してやる!!くらいの気持ちになって進まないとどんどん自分が惨めになっていくことを警戒したのです。相手はキャロルの変化にも気が付いていなかった。アンチ巨人で西武好きの彼の主張は今も全く変わりません。昨夜も広島が勝って彼がどんな顔をしてリビングに来たか・・・溜飲が完全に下がった顔でした。人間の性根が三十年経ってもそうは変わらないという抜本的正体を知るし、三十二歳の頃のキャロルは彼の野球スキを本当に迷惑な話だ・・・として捉えていたことも正直な話でしょう。今でこそ大リーグを二人で観たりとなかよしなんですが当時は彼とテレビ観戦は滅多にありません。なんか全然ダメなんです。スポーツが自分の立場をどうにかしてくれるなんて頼りすぎで、彼の西武スキはキャロルにとって迷惑なものだったのです。ツバを飛ばして応援する彼が獣にしか見えなかったのです。