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サファイア・マン《緻密な男編》〔130〕ここで気を付けておかないといけないのは四十歳過ぎての結婚のセオリーです。改めて言うまでもなく社会人として熟練だとそうこっちは見越して結婚を決めたわけですがそこに若干の擦れ違いがあったという死角・・・。彼には彼の道義的責任を超える独身リズムが既に稼働していたということで、世間を常識というモノサシで伺うことの多い銀行員の生活慣習自体をよく知らずに結婚したという顛末。もっともっと交際期間が必要だった。しかし別の観点に立てばそういう時間を置いてしまうとお互いが結婚から遠ざかっていくこともわかっていた。だからこそ、押し掛け女房のような形式もやむをえず選んでいたというイキサツです。彼に結論を仰ぐことは難しく、それは彼が自由を満喫した仕事徹底主義のバンカーであったことで、さらに状況を多弁にしていたのです。家の中で無理に笑顔を作ってお金だけ貰えばいいのよ!っていう考えにキャロルは到達出来ません。そして・・・お金を下さい!!というセリフが言えない自分のプライドと対峙するのです。何もお金を見出すことのない自分の甲斐性の無さをしみじみ考えて情けなくなるものの、ここが人生勝負のしどころ?というのがはっきり目に見えていた。社会に於ける自分の位置を確認することが求められていたのです。