俺が十九年間、会社の寮にいたことで、最も効を奏したというと・・・貯金だ。何も計画せずともどんどん貯金は溜まる。金策というものを俺はしたことがなく、同僚の中でも常にトップ残高だった。二十代で結婚か、それとも三十代で結婚か?それを迷うときに俺ははっきりこうアドバイスする。貯金をしたかったら三十代後半がいいのだ。結婚すると相手の経済方程式に嵌らざるをえなくなる。結婚してすぐ子供が出来れば、仕事もおざなりになる。そういう部下達を俺は大勢見てきた。家に早く帰りたい!がいつも念頭にある彼らは俺の意識の外枠にいつも立ち尽くし、もちろんライバルにもならなかった。早く結婚して鋳型に収まることはいいようで、実は相当の倦怠時間を夫婦両者に生むのだ。こういった負を考えれば天下を取りたい男に結婚無用論を俺は特別に設けたい。今の石原さんを見ていてなおさら思うのだ。デルスカイしておこう。逆卓袱台返しだ。