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サファイア・マン《かけがいのない男編》〔123〕三月も二十日くらいには母が到着して予定では福岡に滞在を四月十日くらいまでしてくれるという約束を取り付け安心は安心でした。しかし事の進展を母に頼もうとしていた案は反故にします。もしもキャロルが留守中にシゲルちゃんと母は大喧嘩しかねない性格だったからです。どちらも短気で、喧嘩っ早い。そういう熾烈さは見て取れました。こんな幸せな出産を前にして醜い争いだけは避けたい気持ちになっていました。自分ではとうとうお金を捻出することが出来ず、母が来てもお礼の気持ちを表す金銭もなく心もとない気持ち・・・でも母だから包み隠さず自分の生活状況を見せるいい機会だと切り替えます。今思えば、母はこのとき、五十八歳だったのです。普段動き慣れた主婦なら簡単にクリア出来る家事育児でしょうが当時の母にとっては相当苛烈な日課といえただろうな・・・。まず一歳一ヶ月の娘の世話。ベビーカーを押しつつ買い物をこなさなくてはいけません。小学校二年生の女子と次小学校へ入学の男子もいます。学校から帰るとおやつも用意しなければならない。それをしている間も無く、今度は夕食の献立に掛からないといけない。どんなに大変か、それは母が綺麗好きなことも起因していて家の掃除にも母は完璧に拘るタイプだったのです。