サファイア・マン《緻密な男編》〔122〕ココウォークが出来ることで長崎の街は随分新しくなりました。しかしキャロルはまだここに足を踏み入れたことがないんです。それをするということが古い歴史を塗り替えてしまいそうで中々そうならない。ノスタルジックの磁気に掛かっていてここのエリアがキャロルの二十一歳から二十二歳を彩るだけにはずせないエリア・・・。銭座町、岩川町、平野町、この辺までいくと二十二歳の頃アルバイトしていたマックスロードがあり、子供を生んでも一時期アルバイトした浦上百貨センター内のルプラがあって、アルバイトすることで、どれくらいの人生経験を積ませてもらったが明瞭になります。パークサイドホテルレストランにいたことがあります。どういう生き方をしても到底得られない人との繋がりがパイプであると同時にキャロルが思うのはマンションの一階に店舗があるような人生を送るべき。との思いです。家庭に篭城する主婦になってはすべてが元の木阿弥。どこかで社会と繋がっている、そしてそれを否が応でも達成させるのが子育てだという結論です。キャロルは自分が店を出すという展開こそしませんでしたが、この周辺は総ナメでカプチーノ、ボンマルシェ、パラソル、そしてピストロ平山、明月堂・・・通った店舗は数多くその記憶を手繰り寄せることが作家生活を芳醇路線にするのです。