エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔12〕世の中自体が殺伐としているかと思いきや意外にもルージュでした。その頃はルーズな気持ちも世の中に役立つということで、ルージュという言葉が飛ぶ鳥を落とす勢いだったのです。以前ならくたくたになったセールスマンが商業施設の片隅ベンチで従来の方法で休憩を取りやるせない表情でタバコを蒸かしていたものが様変わりしていたのです。周囲の人に全く迷惑を掛けない噴水ベンチが登場していて自分のボックスに入り喫煙出来たのです。そこで吸ったタバコは本人以外に煙を見るものはなく、次の勧誘先を整理する小部屋になっていて仮眠も出来たのです。もちろん外から見えません。その為にあらゆる器機がブース内に置かれていました。噴水を真ん中にしてそういう施設が出来たのは全国現象でした。フシギなカラクリになっていたのです。タバコの草やフイルターを必要とする企業が建てた構想でしたがガンのシクミが解明され治療法も確立、煙草イクオール悪のイメージが払拭され気味が悪いほど復活して来たのです。その姿に里子は時代がここまで変遷してきた経緯があってなおかつロマンが消えなかったことに思いを馳せる。心の中にあるロマンがどの面に囲われようとも活発だったことに脅威を抱く・・・。ちなみにルージュ宣言という歌もグーグル一位を獲得していたのです。