イエローダイヤ・マン《標榜編》〔80〕俺の交換ノートはもちろんそのときのクラス全員の母が所持可能だが、十五年以上も保管している母と同位というのは恐らく数人だろう。人がしたためたもの、そして人が残した作品、痕跡に母は丁寧な所作をする。たかが小学校時代の絵じゃん?とかいうお手軽主婦ではないのだ。そういう母が俺の結婚に口を出してきて、相手を査定に及ぶかも?って俺なりの心配は生じてきていて、それを一回あっちから言ってきた。これは逆療法なのだろうか、あなたの結婚には口を出さないわよ?って。それを言われてみて初めて俺は自分が大人になったことにその時間の降り積もりに驚く。あなたの結婚はあなたの人生!!しかし俺は心のどこかに依存心があった証にもなるが、チョットマッタ?的な思いにも駆られたのは事実。結婚費用だ。それを全部自分でとなると相当に腰が引ける。半分くらいを頼れる親だからだ。あなたはあなたの人生を!!と言われて自分自身のマザコン度もはっきりした。あれだけ大学時代遊び呆けた俺が、一寸も成長していなかった経済的感覚だ。親父はどうだろう・・・。財布の紐を握られていても、男の料理教室に通い出したらしいがそこで、ノミヤで最初に出てくる一品の研究に勢を出すのだという。チャージにあたるというこの小鉢に盛られてくる一品をまさか父が研究するなど・・・。トホホとはいえない。