サファイア・マン《緻密な男編》〔114〕三月に出産のことを話すと母は喜び、電話口の向こうで、キャロルの勧誘に耳を傾けるだけにとどまらず、最高司令が入ったことに気が付きます。まだ、全然進まない会社に家族の存在を届けるという事柄進展を示唆していることに母が気が付く。佐世保発祥の九州銀行は帝国海軍の影響をもろに受けて経緯のある銀行。しかしそういうのは全くシゲルちゃんには通用しない。どこかでしっかり自分の観点があって最強の母にバトルに参加してもらうチャンス、今しかない!と三月出産に向けて、母に三週間くらい来てもらうことにするのです。しかし時間はきっかり約束は出来ません。母は子供が苦手だったからです。三月二十日から四月上旬まで・・・と短く区切り、福岡に応援に来てくれることを父を介して取り付けます。そこで寝食を共にしシゲルちゃんになんらかの影響的視座を施してくれれば、ことなきを得るかもしれない、いや、ことなきというよりいい結果が生まれるかも?と。しかしいい結果を最初から得ようとの考えが甘いことにすぐさま気が付く。彼は厳しい明治の男によって片親で育てられたということです。知り合ったときには両親はすでに他界していました。否が応でも彼は相手の家族に揉まれる運命にあった。それがあってなお、自分の意思を貫こうとの姿勢でいたことが天晴れなのです。