イエローダイヤ・マン《標榜編》〔51〕俺は短大食物科を卒業してすぐ結婚した母が子育てを終了してもなお外で働くことがなかったのがやっとわかった思いに触れる。いわば琴線の思いだ。母は大富豪とまでいかなくとも父の退職金、祖父の土地、株などいずれもはんぱない。だからこれまで働くことは無かった?いや、それは父の定年をじっと待って、満を持していた可能性は大きくて、アパート経営についても詳しく調べていることに俺は恐れをなす。シェアハウス型を目指しているのだという。一階にラウンジを作り、シングルファーザーを受け容れる。女子の社会復帰よりも男子の方が問題で、そこにポジションを見出したという。なぜなら男子が子供を引き取るということは母方に身寄りがないか、経済的援助が見込めない場合がほとんどで、厚木の事件が母を決起させたという。こんな可哀想なニッポンでないはずだ・・・って。あの問題は様々な論議をかもし出した。随分前の事件だと侮れない深い病巣を残した。父親が対応出来ず、それかといって行政を信じることが出来なかった。どこかでそういうのに関わることが苦手な人格だったのだろう。母の思いは通じるだろうか?俺は金儲けではない母の起点が羨ましい。俺にはそれは不可能、そういう観点では出来ないからだ。