ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔170〕小倉に藤で有名な場所があって、そこにキャロルは伯母さんに連れられてまさお君も一緒に出掛けます。嫁と姑の壮絶があって、どんな達人であっても姑と上手くやっていくことは難しくて、そういった伯母さんの心の機微を見せ付けられるようにキャロルは聞き入っているのです。女性の完璧な心についてで、まさお君には何もアドバイスしないのになんで、キャロルにだけ・・・とそう思っていたら理由があったのです。まさお君とキャロルの居候で、おばあちゃんが仏間で眠れなくなって幼い娘の部屋に居候しているような状況を説明されるのです。それを聴いてやっとわかったのです。キャロルとまさお君の出現はおばあちゃんのみならず子供にまで波及しいつもの睡眠を妨げていたことです。それも知らずアルバイト料のことを残念に思っていた自分の浅はかさ。どんなにちっぽけな野望を抱いていたのかわかった気がしたのです。母はどうしているのだろう・・・。そのことが気懸かりでした。あんなに祖母タヤを邪険にして、二階で個人主義を貫いていたのに、母にとって目の上のタンコブのような祖母はキャロルが日大高校三年の八月に亡くなっていました。それを機に母は一階の祖母のいた仏間の奥の部屋に自分の居場所を移動しました。三畳もない狭い部屋です。母の個人主義が自他共に完成したかに見えて、和田家の存亡は危うくなっていました。そのキッカケになったのがこの時期のキャロルの家出だったのかもしれません。