エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔1〕妙におかしいな・・・と思ったことは前夫だ。簡単に離婚届に印鑑を押してくれたこと、もっと修羅場があると覚悟してたのに、蓋を開ければカラッポとはこういう離婚で、ふたりの娘の養育費も毎月五マンをポンと振り込んでくれる。2年になる。余りに簡単にいったことが不安にさせるし、たびたび彼の職場のラインやフェイスブックに目を通したりと時間を割いてはみる。しかしこれだけ何も出てこない男は珍しくて、浮気もなにも実際なかったんだなあ・・・って改めて自分が可も不可もない男と結婚したことわかった。そして十歳と八歳になる娘たちも順調に育っている。夫の両親が子育て参加を言ってきたが断わった。今になって少し悪かったな・・・って思いもする。素晴らしいご両親だったからだ。離婚して決められた養育費を支払わない男の占める割合は昨今最も高い水準まで来ていて、同僚たちはいつもぼやいている。こっそりアルバイトしようかな!って真剣に模索している姿には参ってしまう。タウンワーク支部にはあってその新部に食らいつく同僚に、明日は我が身?って。この保険業界にもライトな部位はあった。成績は振るわなくとも、従業員を紹介し入社まで行かせ、当月成績を稼ぐシステムだった。