イエローダイヤ・マン《標榜編》〔10〕俺は紅顔の美少年と呼ばれ、姉と反対だったらいいのに?とよく皮肉を言われた。そしてアタマも中の中で決して良い方ではなく、それがあってか俺の家庭内ではアグネスシフトが取られていてそこが俺をイマイチにした。父親がいつも言うのはアグネス・チャンは母親の見本!!今度生まれ変わったら、そういう母親になりたいな!って父はぬけぬけと放つ。母親も笑顔なのだ。そういうレベルの高い話はやめときましょう!庶民のレベルで過ごしましょうよ!って・・・。三人の息子を東大に入れたことは立派なことだと俺は思うがアグネスシフトで我が家が回っていたことは衆知の事実。俺は学歴に頼らない方式で是非子供を育てたい願望があった。彼女もいないのに俺がキャッチボールに拘り、子供といつかキャッチボールをしたい願望が顕著にあるのも幼い日の釣りの記憶が要因だった。いたいけなその痛みの記憶がそうさせる。父は車のトランクから何かを取ろうと開けてすぐ締める。そのとき俺は余りの嬉しさでついつい手を出してしまう。指が挟まってしまうし痛かった。骨は折れなかったが、どういう訳かその時父は俺に激昂したのだった。なんで手を出すんだ??ええ?なんでだ?俺はあの時の苦痛を生涯忘れない。父親になったら俺は自分の父のようには絶対にならないぞ!心のどこかにそれはあった。