サファイア・マン《面白い男編》〔108〕乗りかかった船は年収八百万を下らない家庭。ここで安泰に暮らせると思ったのが運の尽き、悲しい現実と対峙せざるをえない状況で、すぐに子供たちを呼び寄せるのではなくキャロルは十二月まで、彼の好転を待とうと思う。切ない希望で一杯でした。家庭生活は片方の意気込みやバックボーンでは成り立たないことを彼にわからせたかった。しかし、絶対に自分は使わないだろうと余ったお金で用意していた赤いパイプベッドで、赤ん坊を横たえて添い寝しているときに、なんでこのベッドがそもそも自分の寝床として役に立っている?と不思議に思う・・・ケチなシゲルちゃんには珍しく福岡で棲むときに、家具代として用意してくれた十万円のお金が七千円余ったことでこのベッドを購入していたのです。長崎の千歳町の電停前の家具屋さんです。しかしまさか、そのパイプベッドのお世話になるなど考えてもいなかった事態。彼はひとりでないと眠れないとキャロルを強引にも説得し、別の部屋へキャロルを駆逐していた・・・・。結婚ってなに?お金があってもそれが使えないなら貧乏じゃん??結婚っていうもののとんでもないリスクにキャロルは直面し、生来の明るさがもしもなかったら?と今も戦くのです。明日は明日の風が吹くリズムの自分で良かった!!もしもそうでなかったなら精神的病を患い、結婚生活を維持していくことは困難だっただろう・・・と当時を回想するのです。