サファイア・マン《面白い男編》〔105〕どれくらいを貯蓄として持っているのか?普通はそれが結婚の常識ですが、余りに持つゆえ、お金を持つ身ならなんでも許されるんだ!っていう甘い算段が彼にはあったようで、会社に結婚を届けないことは自分の自由とまで言ったときにはオロオロしました。そういう嘘の人生を送って欲しくないし、こっちも送りたくない。夫婦のみでも許されない、ましてや彼には子供がいて又生まれようとしていた矢先です。今まさに、結婚しようとしているみんなには参考になるでしょう。いくら大金を持っていてもそれが安心に繋がらないということ、むしろ大事なのは社会常識と双方の愛です。シゲルちゃんは余りに貯め込んでいた為に、逆に心のどこかで横柄になり、勤続すでに二十四年経過していたことで自分流を貫けるのでは?と蒙昧していたのです。焦る気持ちを抑えてキャロルが今後を恐れたのは事実で、割と早い時期に打ち明けたのもそこを畏れたからです。赤ちゃんがいるの!!男の子であることもわかっているのよ!彼は一瞬怯んだように見えました。自分が会社に申告する時期がこの出産の前であるべきなどと彼の表情は語ってはいません。口惜しい結婚の打算でキャロルは自分を責めたのです。