十四年前に生まれたムーブに乗るキャロルよりも古いクルマに乗っている人を見つけることは滅多にないが、ときどきあって、そういう時はしげしげと見つめてしまう。前にいるときがほとんどでランサーをおとついは見つける。新しいクルマも気にはなるがどうせ買えない。その切ない気持ちを通り越して、自分よりも古い車を走行させる人を観たくもなる。しかし、見ているのは車の背だ、シカシマテヨ・・・信号待ちでとうとう真横にくる、そういうときに同胞感は生まれて久しい。新車を買えず、あっというまに今度の一月は車検とくる。シゲルちゃんがお金をけじめている訳も飲み込める。クルマ所有なら維持費は必須。今度車検までに幾らか家族で出し合うことも望まれているが金がない。そういう貧乏が人間をしゃかりきにするのかもしれない。金がないことが人生スターターにしてくれる、願ったり、かなったりだ。