サファイア・マン《かけがいのない男編》〔104〕シゲルちゃんは天神へは必ず電車を使用するように言いますがキャロルは顔で頷き一回も電車に乗ったことがありません。なぜか嫌だったのです。四年間の間、一度も電車を使用なしの主婦など南区大橋にかつていたでしょうか。キャロルは基本をないがしろにしたままで、あーせいこーせいといえる彼の生い立ちをもっと知るべきと痛感します。聴く処によると、母を九歳で亡くし、シゲルちゃんは六人兄弟の五番目。いつも家でお客さまが来る時は飼っているにわ鳥を捕まえてきてその殺し役をしていた、鍋に入れていいまでにするのが自分の仕事だったというからキャロルが慌てたのは間違いありません。畑の違いです。キャロルは洗い物をしようとしてもだめです!と断られた良家のお嬢さん。彼は小学生ですでに鳥のさばき方を知っているという兵。いかなる見解も無視しようとキャロルは思うのです。彼は自分の暴挙に気がつかないくらいバンカー世界のしきたりに染まっているのです。自分が通勤しやすいように少し離れた大橋に住まいを見つけた。もちろんこの状態では銀行の寮にも入れない。大橋の電車は絶対に利用すまい!!と強迫概念に陥っていたのも反発精神旺盛だったからです。