ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔159〕まさお君だけ音楽の仕事に就けて自分はミソッカス?そんな思いは毛頭なかった。この頃から家庭の中での修練も何か将来へ向けての素晴らしい真価宿命あることを知っていた・・・というのも母が全く自分に家の仕事をやらせなかったこと、お嬢様として養育したこと、そういった自分の不慣れがいかにマイナスに働くのか?或いは逆に垢抜けとして映るのか?かっこうの実験場面が来ていることにぞくぞくさえするのです。まさお君とキャロの部屋は玄関入ってすぐの仏間が宛がわれ自分達の少ない荷物がズタ袋ふたつ置かれていました。布製のショルダーバッグです。彼もドラマーとしての道具一切はありません。着のみ着のまま〔ベンジャミン〕の出で立ちでその家庭内を見回してキャロルは心引き締めます。母のように時間前になっていきなりコロッケを購入してくるというような構えでない正真正銘の主婦の鑑の立ち姿に唖然となります。それを見て母をキャロルは離れた場所から採点します。確かにお掃除力を母は駆使してイチミリたりとも家の畳には落ちてはいなかったけれど、母は食卓を簡素にし過ぎていたことをメモります。小学生になってキャロはスキヤキという料理を知らなかったことも物語る。その家の相当分ってかすべてを購入する八百屋件肉や、よろず屋がキャロの勤め先だという事実を聞かされるのです。