サファイア・マン《緻密な男編》〔101〕思い切ってキャロルは今頃ですが尋ねてしまいます。結婚して四年間も銀行に届けなかったことについてです。独身で支店長になれるかどうかを実験したわけ?そんな馬鹿な!!ありえない・・とすぐさま回答がある。じゃあなぜ、あの時に、あそこまで意地悪したの?って。キャロルは自分達が住んでいたあのマンション一階の店舗が頑張って営業していることに感動してこのサファイア・マンをしたためるのです。てんというラーメン屋ですが三十年の積み重ねを思うとき、屋号を保ちゆくことの大変さや功労を思うのです。キャロルのマンションはちょうどかつての東長崎中学校の校舎を思わせる作りになっていたのです。今は校舎は壊されて新しくなっていますが、あの青い扉を開けて前のマンションを見るとき、中学校の校舎、中庭を真ん中に置いた対面校舎風景を思い出す。キャロル五階に住まいがありました。中学校の校舎ですが壊される前に写真を撮って置けば良かったとすら思うのです。マンションは玄関入ってすぐ十畳くらいのリビングあってその奥に洋間が子供部屋として六畳、向こうに四畳半と六畳の和室がありました。キャロルは自分が支払う!と約束した共益費の重さが嫌になります。月に五千円程でもそれは貯金のない身には重たく福岡宝石バンクに電話して出向くのです。僅かであってもお金に出来れば?との思いでした。