ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔157〕一緒に教室の外にそびき出されて、自分と同罪見られた少年はみんなから軽く扱われていた生徒で、その風情はキャロルの情けを誘います。なんで彼がいつもみんなから冷笑されたり軽視されてきたのか?でも妙味のある生徒だったのです。正直凡夫。そこがキャロルの心をかき乱します。先生にあんなに叱られるほどのことだろうか?大きな疑問符が自分の前途を映し出していたのです。整理整頓が出来ても、何かを誤魔化すようではダメだろうし、整理整頓が人の目から見ると整然としていて素晴らしくても、発見出来るはずのものが発見出来なければ元の木阿弥で、キャロルはその少年の素晴らしい一点を見つけます。頭が決していい方ではない、しかし注意なら注意に服するという素直な動作です。自分にはない彼の善点にキャロルは目眩さえしそうになって民衆の位置付けに気が付くのです。投票者たる民衆の位置や民衆の定義についてです。中心人物たる為政者を信じるしかないすこぶる危険な関係なことにも気が付く。教室の外で二人あれこれ話したことが良かったのです。その後は注意して机の整頓を彼はしたでしょうか?、いいえ、彼はその後もキャロルと一緒に何度か立たされています。それが少年の素顔で、ある意味正しかったのです。