ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔143〕父は走ることは体育の代表的な査定基準。きっと足が遅いのは和田家の遺伝だから気にすることはないし、それよりも勉強に打ち込み努力しなさいと主張を譲りません。遺伝?それを聴いてもぴんとはこないキャロルです。なぜならその頃のニッポンではDNAという言葉さえありません。遺伝の意味さえわからないし、今のように外来語が浸透してはおらず父の言う遺伝についてを質問し考えるのみです。弟も足が遅い・・・とそのときに思い込んでしまったという早計はあります。どういう訳か神さまはキャロルに運動神経を全く与えず、玉のような弟にはその類希な運動神経を与えた・・・。遺伝子は全く同じなのに奇妙な気分です。それにストップウォッチで計っても速い子は常に速いことがわかるのです。そして0、何秒かはいつもズレる。キャロルも三回は測定してもらいましたが、十秒三より速くはなれない自分にリアル打ちのめされるのです。これじゃあ体育で四を獲るのは難しく、一学期の通知表は5が一個で、体育が3、そして他は4で、二学期はやっと5が三つに増えます。国語、社会が増えたからです。しかしいつまでたっても体育が四になることがないのは眼に見えていましたからそれなりに研究を始めていくんですね。