ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔135〕才能の箱をロイヤルボックスを誰もが持っていてその箱を展開もせず人生を終わるなどあってはならない、キャロルは自分の才能の所在が音楽と文学にあることをすでに知っていて、それは投稿が採用されたこともあるでしょう。中2短歌で長崎新聞、中3では作曲で全国版音楽雑誌に。それでも両親は、まだ手探りでした。その教育方針でも、父はしゃかりきに大学を出て司書教諭の道を!とキャロルに盛んに薦めるのに反して母は無言を通しました。この落差には母の慟哭があったものだとキャロルには苦いキズキがあったのです。母はその通りの英才教育をと思って始めた早期教育に転んでしまった・・・そして否応無しの矢上への転居。そして一階には夫の身内を置く生活。幾ら身内とはいえいつも見張られているように思えてならない。思い込みやその邪推、潔癖症が母を思わず刺激し精神不安定状態に導いたのは理解範囲のキャロルが、自分にも責任のほとんどがあるとの意識を闊達にしていったのはごく自然の流れで、弟がオチコボレになったときにも自分の重い責任を感じています。そんな何もかも自分の責任にする必要性はあったのか?とみんなも訝る場面かもしれないけれど、どんなに期待をされて生まれた自分であるか?一回目の結婚で父はふたりの子供を亡くしての容姫誕生だったのです。