ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔124〕まさお君は自分の本当のお母さんと再会した日のことを嬉しそうに語るんです。十六歳。なんらかの事情があって両親は離婚し今の義母がいてそのことで葛藤は相当にあったのでしょう。ひとつ屋根の下で暮らしていました。キャロルはまさお君が本当のお母さんに会いに遠い場所まで旅をして尋ねていったときの話を聞くのです。白浜という場所、なんという母を訪ねて何千里物語だろうって。それに比べて自分は平凡なのでは?って。両親ともキャロルをいたわり、特に母はキャロルの自由な生き方を了承してくれていた。父は政治が世の中を決めるんだ!っていう考え方でいたのに対して母は、沢山のサスペンスストーリーや家族の物語をテレビで観ていた背景でしょうか。すべてに起承転結というスリルや暖かい内容があってそのノウハウをまるで会得しているかのように父と相対する場所でキャロルを看過してくれていた。もしかしたらそのことがキャロルに十代の勇気を与えていたのかもしれない。もしもオチコボレについて論議が出れば臆せず自分のこころの奥底を語ることが大事だし、そういった意味で、十代の頃から課題をひとつ持ってその日常を暮らしていたとも言えるでしょう。そして音楽はキャロのこころの拠り所・・・。まさお君もそうでした。彼もそれをキッカケにどうやら父親と繋がっていたのです。