ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔123〕キャロルにとって、近隣の子供達との交流は何を置いても興味深いことでしかも小学校に入学すれば彼らと肩を並べて登校、ないがしろに出来ないキーマン達ではありましたがどうも母にとっては格下。何があったのかはわからないけれど母が相当の家柄で育った女性であることは自明でした。しかしその想い出にはしっかり鍵がかけてあってキャロルは簡単に覗いて見たり出来ないシロモノではあったのです。戦争のことをまだキャロルは知りません。おおまかにそういう時期がニッポンにあったことは英雄伝や偉人伝で読むことはありましたが、それに母が家族もろとも関わっていることなど知らなかった・・・。脇田大佐のことを知るのも、母の兄の家に訪問したい!と伯母が言い出したあの万博時。キャロルは中学二年になっていました。それまで、自分の父の話を一切しなかった母の心象に一体何があったかなど深くは考えません。弟が生まれてその忙しさにかまけ何か問題でもあったとしても母は弟に対するときが最も幸せであることがはっきり観てとれた。私はこの家の長女ではあるが、ゆくゆく弟はこの家の当主になる人物なんだなあっていうのは子供なりにわかっていました。地べたに座り込んで土間の下の収納穴に生姜を一杯保管するタヤ。母は悪寒そのものの視線で階下をスルーするのです。