サファイア・マン《面白い男編》〔58〕都会の生徒ではない分彼は鮮烈でした。離島出身だったのです。キャロルは自分の中で彼を希望の星との認定を下します。このまま、人生の地図で彼だけは見失いで見て行こう~って。どういう訳か、その一ヶ月前に付箋のような出来事が起こったのです。音楽の時間の取り組みで音楽担任が、今度の企画はみんなが自分の好きな楽器を使用しながら、好きな曲を演奏ということにしようと思っている・・・って。クラスみんながはっちゃけます。俺はロックだ!とかおれはフォークがいいとか。キャロルはチャンス到来だ!とそう息巻きます。みんなに自分作曲のシンフォニーを聞かせてあげたい!!って。そのとき、音楽担任が、キャロル譜面をしたためていると近くで観ていてこうのたまうのです。多芸は無芸だぞ!って。ハッと来る戦慄があって、教師を振り返ります。どんな意味でそれをおっしゃったか、キャロルはわざと質問をしないで温めておこう・・・と。これもひとつの原案こと実験材料ですよね?多くを与えられた者の各分野の資質はそれほどにも無芸なのか?この回答はニッポンでは、いえ、世界で、キャロルだけが結果を発表出来るという暫定が既に付いています。多芸でなければ無芸ではありえないからです。