保険に入りたい入れろよ?とキャロルはうるさい。すでに県民共済に俺が入れてて、癌保険も付けている。三千円の出費だ。それでもあいつは入りたい、今しかないと俺をじっと見つめる。この腕には保険を掛ける意味と意義がある!ってあいつはのたまうのだが、俺は動じない。年収が百万もいってない人間が保険保険っていうのが俺にはわからない。作家年収もゼロで、この腕に価値があるって言われても俺は動かない。バンカーの鉄則は前年度の年収と働いた期間だ。資産吟味もある。確かにキャロルは土地所有だが建物は俺の所有。ハンブンコってやつだ。入りたくともあいつは生命保険すら入れない。封書が郵便で来るからだ。俺は稼ぎもないのにやたら自分の腕を吹聴するキャロルが解せないのだ。世間の常識からは乖離しているし、三千円も月に支払ってもらえている身分に満足すべきだ。