サファイア・マン《かけがえのない男編》〔58〕自分が最後に長崎東高校に足を運んだのが三月十七日・・・この日付け忘れないようにとそっと祈念したことを忘れません。しかし進級決定組はこんな悲惨なハラハラドキドキはなくて、二十何日かまで登校していたのです。親友に手紙を預けてコクろうとしていたのもオワカリでしょう。この時期を逃せなかったのには、彼女が隣のクラスだったからです。その地形的長所。2年になってしまえば、もしかしたら遠い場所かもしれない・・・キャロルには思いたったら吉日を敢行するいい癖が付いていました。思い立っても実行がなければしなかった連中と全く同じ・・・それならいい案を浮かべていた自分の立脚もないしポジションも皆無です。この窮地のために、それを裏付ける目撃者・・・こういった立会人を必要としていたのだ・・・とまでは言いません。単なる言い訳やお遊びも必要だったのです。万が一、彼が、僕も君が意中だったとなれば、人生の快挙そのもの・・・しかし人生はそんなに甘くは有りません。親友がキャロル支配の構図だったわけではないけど、コクるということがとても勇気ある行動だったから興味半分で従った可能性が高い・・・彼女は今でもごく近い場所に勤めていて会ったらバチっとお互いウィンクします。公務員なんです。