矢上神社が自分の庭そのもので育っただけにキャロルには矢が付き物だ。白羽の矢。ここで新語いっちゃおう。白髪の矢だ。玄関にはその矢上神社の矢を二本も飾る。そして正直思うのだ。六十歳から人生が始まるなんて絶対に思ってはいけない。六十から先はオマケなのだ。お負けが掛かっている。つまりこの五十代に物事を成就出来ない人ならあとは余禄のオマケだってこと。キャロルは正にガケップチなのだ。今も白髪染めを洗い流すだけになっててシャワーしながらシャンプー、息子達が帰省したとき、風呂場を綺麗にしとかなくちゃ~ってちょっと普段と違うことをやってしまい風呂場で滑って、頭からカラッポの湯船に転倒。後頭部を強打してしまう。十二月にやる大掃除を早めにやろうとしたのが間違ってた。大金持ちでもしも大理石の風呂なら、恐らくさっき死んでいた。貧乏さまさまなのだった。