町田康という作家が犬に本当の気持ちを語らせるそういう粋なエッセイの紹介がテレビであったときだ。どういう訳かあいつが、うっしっしってな顔をして、俺の和室を退席してコーヒーを二杯とビスコを持って又参上して来たのには俺はオオっとなる。出掛けない日はぼ~~っとして寝てばかりの人間がおやつまでサービス。この町田手法を見てほくそ笑む。何かがあるな!?と刑事的予感があったのは、まさか俺を犬に見立てて、俺の気持ちなんかを代弁してはいまいか?確かに俺は俺の一生を私小説の題材にしていいとの許諾をやつに渡した。しかし俺の恥ずかしいこころの波打ち際まで、およよんと及んでもいいぞ?とまでは言ってはいない。しかしそこがあいつのサイクルヒット型の頭。そして守りが堅くて何かに気が付いてもスグサマ披露はない。あいつは一体何に気が付き、むっふっふふ~な状態になったのか?そしてどんなやり方で俺をこの俺様を、手玉に取ろうとしているのか、俺は早川の推理小説を読んでいるときよりもワックワクな境地になるのだった。デルスカイは手玉弾〔ハンドクリック〕だ。