ピーバックとかいうドデカイ記録を次女は持っていて、帝王切開のあとに自然分娩で産む、それをした人間は人生のどんなことを制覇した人間よりも凄いとキャロルも一目を置く。しかし今回は医師に大事をとって帝王切開を薦められる。これは高額医療に相当しこの五日に払い戻しがあったのだ。金額も十六万を超える。俺は普通分娩のときに国からのお祝い金で足りず、幾らか追加を払ったが、今回はニッポンの高額医療のお金がこうして彼女たちに振り込まれ、本当なら、今までお世話をしてきた俺が全部受け取るべきものだが、俺もニンゲンが甘い。半分の七万八千円を彼女たちに献上じたのだった。嬉しくてたまらなかったのだろう。すぐに残高三万まで使い果たした。しかしとんでもないことが起こった。ドコモの引き落としだ。月末だけがそれだと勘違いしていた彼女たちはあと少し豪遊出来ると高を括っていた。カードで下ろそうとするやいなや、惨事に気が付く。一ヶ月遅れでハガキが来てから納入していたのだ。彼女たちの頭の中はそのときにサク乱して、キャロルなど、ヒッキングにあったとそう目星を付ける。なんのなんの銀行に電話したらば、ちょうど次女の二万九千円がドコモの代金として落ちていたのである。俺は笑って笑って泣きそうになって蹴躓きそうになったのだ。いや彼女たちを封じ込めたドコモの周到に俺は参ったのである。