サファイア・マン《緻密な男編》〔51〕キャロルは奇遇なタイミングで昨日あの映画、メリル・ストリープさんのプラダを着た悪魔を視聴します。この服装の世界で、ベルトだ、靴だと凌ぎを削る彼女たちのファッション界を見て不思議な観念に襲われるのです。以前なら、こんな世界自分たちに全く関係ない社会だわ?って見過ごしていたのに、この映画に感動を覚えたのです。時間の波から波へと絶えず蠢くブイのように彼女たちの構想を支えるものは構想の根底にあるものは自分達が信じる仮のセンス・・・。しかしその仮センスに共鳴し合える大衆があって初めてそれはそつのなさを得る。成功の方程式がここにもあって、一流どころの人材をすべて網羅。こういうカウントの仕方は実に面白くて、ただ単に時間給でいえば、それで割れば、彼女達は、それ程収入を得てはいないし、ある意味、報われない商売であると可哀想になったのです。時流を動かすのは、新聞やテレビではなくもしかしたら大衆観念かもしれない、今は明解に言えますが、あの頃、二十六歳の冬、キャロルはヒトメボレしてあるフリルだらけのホワイトブラウスを購入。前も後ろも七段くらいのフリルで固めてあるデザイン。スリットの入った黒のスカートを合わせました。みんなは、どうしたのよ?なんて格好してるの~とコケにしたり馬鹿にしますがその反応がメッケモンだったんです。