ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔96〕二軒隣に住むのが父の従弟で、キャロルはこの大富豪の和風の家に何回も遊びに行ったと言いたいですが、パッパラパのキャロルは一回、二回くらいしか、行ってません。この家の厳しさきっと、ハンパではなく一歳年上のロコちゃんが、キャロルなら大変な目に遭うのでは?とみずから疎遠にしたのだと思う。ここの家の三人の子供たちが全員教職を得たこと、以前書いたと思うけど、全員が俊英でスポーツも出来たんです。お母様が教員で、お父様が民間の会社だったと記憶します。父の母方の従弟であることで、キャロルの母が亡くなったときにも二日間、早い時間に駆けつけてくれて、キャロルは有り難かったのですが、小さい頃は、このロコちゃんのお父様、家のトイレの糞尿を肥溜めという天秤棒に掛かる樽みたいな二個に入れ肩に下げて歩いていてよく道端ですれ違っていたんです。今は若者はポットン便所とそう言っているようですが、当時はこの辺一帯はまだ汲み取り式でした。キャロルがいたあのアパートが水洗だったこともあり、この、便所からうんこを汲み取り、自分で自分の農地に運ぶっていうことは当時当たり前。ただキャロルがそれによって想像力を大きくしていったことは言える。まず自分の家も汲み取り式。中は暗くてよく見えないけれど、ここがテスト作家なんですね~見えないから見ないでおこうが出来ないんです。もちろん自分の手は汚しません。一体全体中がどうなってるのか?水分と固体の割合は?そこにはそんな微生物が?こんなとこを見られたら母が逆上するのですが、キャロルはロコちゃんのお父様と肥溜めの樽二個とすれ違うたび、想像力を闊達とさせていたことが言えましょう。