サファイア・マン《面白い男編》〔36〕右も左も判らないキャロルでしたが、飲食業のなんたるかは少しだけ把握していて、顧客第一怒らせたらかなわないということでした。奇遇なことにキャロルはこの店に来るべく第一号と伯母夫婦に思案橋電停の前で会います。電車から降りて横断歩道の出会いがしらに。ふたりは食事をしに観光通りまで来ていました。ちょっと足を延ばして歩いていたところをキャロルは見つけ、いやああ!ってキャロルは奇声を上げれば向こうもです。どうしたの?何してるの?容子ちゃんって。あそこが私の勤務先、カウンターもあるし、是非店を見ていってください!そうね~あなたどうする?伯母は夫に問い掛けます。ここは・・・まずいよ、行きたいしせっかくの容子ちゃんの招待でも気分が乗らない。そうですか?得体の知れない、怪しい店ではないことを見て頂きたかったのに。キャロルはもう一回ダメ押しします。義伯父は三菱の設計士でした。ここは確か・・接待で使われている店、僕は遠慮したいし容子ちゃんの働く姿を想像するだけで、今日は我慢しとこう。わ、わかりました。伯母はオコズカイをくれます。ちゃっかり受け取るキャロル。本当に金銭的に緊迫していましたから、人様に来てくださいとクラブで大枚使わせる立場に無いことに気がつきます。ありがとう!!じゃあまた~キャロルはフトコロ暖かくなりこころもち尋常に戻った。戸籍上の夫から生活費をもらうなどという甘い考えはもはやなかったのです。