ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔88〕人と交わることが嫌いな母がどんな状況に陥っていたのか、そこを考えると興味深い。母は教員を辞めていました。十三年勤めて、人とどうにか付き合ってきたのに、家庭に入ったことで得たものもあったのです。家の中で自由時間を過ごせることが極上の極みでもあったのです。弟がお腹にいて出産が五月ですから八ヶ月の頃に矢上に転居しています。キャロルへの英才教育を抜本的に捉え、自分の中で整理していた時期。そして母は弟の出産を前に、タバコを覚えていたのです。つわりはとても辛くて、タバコで気分を調整していたらしいんですが絶対にいけません。ただし、キャロルにとってはそのタバコタイムが母のこころの中を覗き込める絶好のチャンス!キャロルには母のこころが丸見え状態でした。今で言うバリアフリーの逆構想が母のこころを占めていたのです。二階に鍵が要る、そして二階に台所、水道は二階まで引けるだろうか?トイレは?風呂は?キャロルは訝ります。女性同士の仲なのになぜ?ここまでタヤを嫌悪するのか?この国に何があったのか?女性同士のバトンタッチが出来ていない国なのでは?キャロルは母のこころの中の攻防が残念でならなかったし、ここが解決すれば進展は大きいことだろう・・・。女性が女性を嫌悪する、スルーしようとする、足を引っ張る、男よりも重大な欠陥を発見出来たのも喫煙タイムだったのです。