十ヶ月に一回回ってくる町費の集金今回は妻がやってくれそうだ。前回、前々回と俺が集金してまわった。これも意外に気を遣う。俺は町のクレーマー、そのことをみんなが知っていて、さっと500円を差し出して言葉も掛け合わない。それで俺は満足、集金さえ出来れば当番としての役目を果たすからだ。一年で一戸あたり六千円の捻出だが、俺は去年からごちゃごちゃ言わなくなった。敬老会なるものに参加して豪勢な弁当や酒にあやかったからだ。普段はおとなしい住民たちが、カラオケで得意の歌を披露しあう姿に感動した。ニンゲンの金銭献上意識を吟味するとうっすらと見えてくる。自分もあやかることが出来るのならお金を出すことにも寛容になれるのだ。そしてこの町内の住人男たち全員が女房の尻に敷かれていることが鮮明に・・・。カラオケマイクを中々離さない男は、銀行員時代から見てもその傾向下にあった。俺も同位だ。鬱憤が相当溜まっているのだ。