サファイア・マン《緻密な男編》〔28〕課題は山積しますが、キャロルはお金を取りに帰ることにします。シマのみんなが振り返ってでも台の行方を追いたかったのには訳がありました。660まで回したニンゲンが数人混じっていたのです。だからこその教唆でした。天井台にはアンシンと引き換えにがっかりもあり、ビッグではない場合も。レギュラーのために自分は危険を犯しているのでは?そういったアドバイスも視線の中にありました。この親子は面白い・・・そういう視線も中にはあって、自分の親としてのスタンスを改めて確認したのです。その頃は、このぱちやに来て、勝った時にお隣のジョイフルで食事。パチンコやスロット、音楽やその他人生のすべてについてを語り合ったのです。このときもお金を家に置いて出掛けるときに予感はしていたのです。取りに戻ることになりはしまいか?と。三男はライターで台をキープ。ゲームの過渡期をつかさず邁進した彼には独特の勘があり、その冴えに母としてライバルとしての参戦でした。家に戻ってお金を持って急ぎますが、間に合いそうにもありません。その頃のキャロルは負荷点数がぎりぎりまでいってて、無理な運転が出来なかった。最後は諦めが肝心と帰りは急ぎません。台は留保を解かれて、野放しになるものの、誰もそこに座らない。ふたりとも思案するんですね、キャロルはこころの中で実験をしていたのです。テレビゲームの感覚がどれほどこの回るスロットのドラムの中で通用するものなのか?