ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔82〕ヨッキちゃんが、トヨペットで挫折したときに、よく吼えていたのが転職でした。転職と天職・・・。この相対性理論っていうのは文系アインシュタインなら考えるし、ヨッキちゃんの言葉、ひとつひとつにカギがありました。キャロルは聞き耳を立てます。俺はセールスには向いていないんじゃないか?周囲は放置です。毎度のことにいちいち反応していては耳が幾つあっても足らない。キャロルはヨッキちゃんが次に言い出す台詞に興味があって、耳を済ませていたのです。そういえば・・・タヤの夫の光男がのぼりを作る職人だったことから、俺にもその修業させてもらえないかな?タヤは断ります。東京や京都で培った光男の職人芸、染めはそう簡単に修得出来るものではないし、ましてや、タヤが教えることなど無理からぬ話・・・。しかし、ヨッキちゃんは、詰め寄ります。俺はもうクルマの顔を見たくないくらいに疲れたんだ、光男の手伝いやってたんだから、出来ないことじゃないだろう?って。俺は家紋に目を付けているんだ・・・。タヤはもう何も言いません。ヨッキちゃんのひとり相撲はこうやっていつも終了。キャロルはしかし幼なゴコロに、目の付け所いいんじゃないの?って。天職と転職の因果関係についてにも考え及ぶのです。人はこうやって、人生を七転び八起きで、歩んでいくんだな?っていう面白み・・・。家紋っていう由緒ただしきものにヨッキちゃんが目を付けた機転にハッとさせられる。光男のように生きることが可能なら?ヨッキちゃんの方向性を示唆する発想が七つか八つは人生に選択肢があることを定義付けていました。