サファイア・マン《かけがえのない男編》〔22〕昨日とおとついの二日間、朝、弟を訪ねて近況を語り合って収穫がありました。やはり、彼の感性は誇りに満ち溢れ、そして、その一方で、ひと泡吹かせてやるぞ!というような復讐心が旺盛なこともわかります。それも人生のあらゆる場面では必須で安心したのです。キャロルは弟が朝四時からのパン屋のアルバイトを探して問い合わせしてみようかな?って発言したことに興味と期待を寄せます。そっとしておいた方がいいので、私だったらすぐ電話するわ!と話すにとどまりました。彼の気持ちの孤高はいつしか、絶壁のプライドになっていて、実際世間の人々から観るとおかしいのに、そこに気がついてはいない弟が哀れに思えてきたものの、自分の状態もこれからの二ヶ月研修が立ちはだかり、それどころではないので、お互いに頑張ろう!!って話して別れたんです。すると帰り際、自分は人とは違うってことに少しは自信を持つんだなって声を掛けてくるんです。俺は受けられなかったけど、姉貴は最も感性が育つ五歳までにお母さんの音楽教育を受けた、そのことを誇りにしなくちゃあ?わかった、と答えながら、この弟が一体何を言いたいのか?そこがよく飲み込めて嬉しかったのです。姉貴がもしも職場で仲間からいじめられたら、すぐにお母さんのことを思い出すんだよ?って。なぜ、姉貴には音感教育して、俺にはしなかったか?それは姉貴に賭けてたからだと最近わかったんだ・・・この暗示的な弟の言葉にぬくもりがあっただけにじ~んと来たのです。