年をとったということもあるが、五年間仕事を全くしていないそのブランクは相当にひびく。脳が退化を起こして、教えてもらってもすぐに忘れてしまうのだ。若者たちが、これは以前教えましたよ、もう教えませんと二回は拒否してもキャロルはズーズーしくも、いないいないバーじゃあるまいし、ちゃんと教えてくださいな!とがぶり寄る。これが本当に最期ですよ!と念を押しつつ、若者はバーを教える。わ、わかりました、とうとう覚えました!と答えてメモをとる。本当に覚えたのか?と心配顔の若者。キャロルはイナイイナイバー強襲軍の言わばえじきなのだ。彼らは、キャロルを、覚えることの出来ない人です、アルバイト失格者です!と言いたげな表情だし、現に裏で言ってるが、キャロルはこういう若者に囲まれて幸せなのだ。こんなに頼りになるニッポンの若者!!キャロルをはじき出す寸前まで、出来る若者・・・。それでキャロルの立場は頼りないものではあるが、この強襲軍こそが、これからのニッポンを背負う未来の群像に他ならないのだ。