ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔75〕ヨッキちゃんに対する嫌悪感が薄れたのはある光景が要因していました。近くの自転車やさんで、キャロルは自分が買ってもらう自転車をいろいろ事前に調べていたときです。まだ、完全に承諾は得ていませんでしたが、勉強も出来たのでいいだろうって自信認識して品定めをしていたときです。男たち二人がいて、話声がしてきました。あの男だけはわからんね~そうさ、おいにもわからん、って。釣り糸を垂らして、一時間経っても、何にもしゃべらん、わからんばってんそいがあの男さあ・・。キャロルは最初はヨッキちゃんのことだとわかりませんが、ずっと聴いていると、想像力がムラムラ湧いてきて、一体どんな男なんだ?って聞き耳を立てるんですね。釣り糸を垂れて一時間何にも話さんから俺から話し掛けたさ~でも何にも言わん。ウンともスンとも言わんとか?ああ、ああいう男ともしも一緒になったら、女は退屈だろうな?ああ、でもマジメ一徹で、それはそれで、重宝されるかもしれんな、じゃあな~キャロルは家に帰って不思議な事を思い出すんです。ヨッキちゃんが釣りをしていたことをです。佐賀県、鹿島の海の夕陽より美しいものはこの世にないと風流なことを言ったことが一度あったのです。キャロルはタヤに尋ねるのです。ヨッキちゃんは、自転車やさんと関係ある?タヤはニコニコして、暫くはあそこにも修業で働いてたばいって。キャロルはイッペンで哀しくなったのです。ヨッキちゃんは言葉も失うくらいに両親と別れて暮らすことが辛かったのだと・・・。