ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔74〕同じアパートの棟にいても、それぞれが違う家庭生活を営み、喧嘩もあれば歓びもあるんだ・・・そしてこの頃の母はまだ20代。嫁姑の軋轢がありませんから伸び伸びと自己主張していました。でもそれは家庭生活の中だけ。何でも外で発表出来るわけはなく、女性の自立とか難しく考えず、キャロルは簡易類推に走っていました。両親が喧嘩しているその内容の方が重要だと優先順位を付けたのです。いわゆる母はヤキモチを焼いていたのです。夫が自分より前の奥様を愛しているのではないのか?そしてそれは赤ん坊が亡くなってお暇を出されるという奇妙な別れ方をしていたからです。なぜ父は、家を出て追い駆けなかった?とも思いますが当時タヤに背くことは良心に背くに値したのでしょう。父はタヤの言うなり、ホンモノのマザコンだったと回想します。唯一冊父は本を発表しましたが、そこにタヤは出てきますが自身の家族のことなど一行もない、本当に愛していたのは、亡くなった赤ちゃんや別れた奥様だったのでは?と母でなくとも訝る気持ちキャロルはゼロではありません。激しい言論の闘争には愛や恋、未練、化身などが含まれキャロルのこころを刺激したのは至極当然で、なにゆえに人はヤキモチを焼くのか?それは愛している証拠に違いないから?と父は責められてはいたけれど、逆に母から愛されているからこそ糾弾されているのでは?幼いキャロルは考慮しました。耳のカチカチ音は他人に聞こえないものらしく、キャロルがそれが聞こえる?と何人かに尋ねたものの誰も聞こえないと答えるだけでした。