サファイア・マン《面白い男編》〔16〕キャロルが30歳から40歳という10年余り、長崎に住んでいません。夫が福岡、そして宇部、熊本と転勤族だったから。そしてようやく本腰を入れて挑むのが、初支店長になったとき。三男が銀行の健康保険証を取得して生まれたときからでした。どうしてこんなに、初支店長に拘ったか?というと、自分という人間と結婚したから支店長の椅子が遠のいたなどとノチノチ言われたなかった・・・。それで主従関係を温存したのです。男は外で働き、女は家族を中心に動く。それで安息の時間を得て、磐石体制で連日新聞投稿を35歳から始めたのですが残念なことに一万首の短歌は残っていません。ノートにもほとんど残さなかった。生まれたての短歌をはがきにしたためすぐ投稿の形も多く、今、短歌をしたためている人々に言いたいのはここですよね。投稿する前にメモを取っておかねばなりません、そして三年半後、熊本に行って、また惜しいことをしています。三年以上もの間、投稿文を封筒に入れて送るという郵便投函投稿をしているのです。最初の一投目が掲載後、一年七ヶ月間、音沙汰がないので新聞社に手紙を出すと電話が掛かってきます。編集局長という人からです。二人っきりで会いましょう!!事前に前の日に連絡して下さい。ホテルでコーヒーを飲みましょう!びっくりして受話器を置き、恐ろしいかな人生は・・・茫然としたのです。なぜ?二人っきりで?キャロルが感動したあの若草物語のジョーとは全然違う背景でしたし、これは、原稿を残さないと大変なことになるぞ!とハッパを掛けた次第です。家庭にいる主婦への扱いはこの程度のものなんだ。これはまだ弟には話していません。