サファイア・マン《面白い男編》〔11〕退院して家に戻った父の家を訪問した今夕、弟にクリスマスの約束を三日だけ延ばしてもらい、一緒に、とある病院を訪ねる約束を交わしました。父に安らかなホスピスを受けさせたかったからです。入所までどれくらい時間が掛かるかはまだわからないけれど、父の人生の最期が整うようにしてあげたいと気持ちを伝えたら、快く了承してくれました。今も微熱はありますが、持って行ったはまちのお刺身と卵粥、喜んで食べてくれて嬉しかった・・・。弟が、しきりに今夕もピアノの話をするのでキャロルも思い出してしまいました。あのゴズリングさん主演の映画、プレイス・ビヨンド・ザ・パインズの音楽がめっちゃいいのですが、次女も同じ感想を言うのです。そういう共感的音楽視座っていうのにも注目ですよね。次女は、なんともいえない美しさがあると、その音楽を絵画的に聴いている。なぜ?音楽なのに?やはり万人のこころを捉える主音源音感というものがあるし、これを絶対フレーズと呼称しておきましょう。この絵画のような想い出のような音楽をキャロルはあの越谷駅の近くで聞いていました。確か、夕刻の5時を知らせるフレーズ。駅の近隣が夕陽に染まるころ、その音楽は人々の耳元を撫でていくのです。なんという美しさ・・・そしてノスタルジー。人生の一瞬を誰もが共有するなんて、出来かねるものを、メロディーはいとも簡単にそこを跳び超えていく。単調さの中にある脅威でありシンドロームだと興味深く拝聴していました。弟は自他ともに音楽覚醒の来年にしたいね?って。その言葉はそのままキャロル賛歌に思えて、まだ決して遅くなんかないと、こころが熱くなってしまったくらいなんです。まだなんとか・・・50代ですもの。