ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔66〕サクセスという山でいえばキャロルはすでに7合目を超えて眼下が見え易くなっています。お腹から出てくるときが最も危険だったわけで仮死状態。しかし肺の中からすっかり水が出たのでしょう。ことなきを得ています。医師の判断が速かったのと、不思議なことに住吉神社のすぐそばの産院であった。50歳を超えてここを尋ねてみました。小さな、愛らしい神社。ああこの神社に父も参って、あの父のことだもの、安産を拝んだろうと・・・。あのアパートでの五年半と弟はうらやましがるんですね~キャロルにとっては自分を試され裁判されたも同然の場所なんですが弟はまだお腹の中。同じ遺伝子なのに、どうしてこうも考え方や思想が違うのでしょうか。キャロルは父と母の思想的な巡り会いのもとに生まれ、この国の思想のもつれや混濁をいきなり解決出来るなどと、赤ちゃんのときには思いもしません。ただ、びっくりしないで聞いてください。50年という半世紀が経過して、やっとこさ、そのほつれた原因や、起点が目の前にすでに立ち上がっているのが見える。そうです!!どこでもドアの脅威!!これは時間対時間も確か良かったですよね~父が悩んだ抗争、教職員ストも今はありませんし、言論の自由はすべからく確約されました。何もかも出揃ったこの国で、まさか、あのときの罪びとがみんなと語ることが出来るなんて夢のまた夢。母は、罪を犯したキャロルを覆うように白い目から守りましたし、ママゴト遊びをしていても、遊んじゃダメ!!という他のお母様方の唇を見て哀しがりました。でもこの子が引き起こしたことだからと思いを新たにしたのです。