四歳のときに加害者になったキャロルは近隣からどう言われたか?それこそ、人間ではない!というバッシング評価を受ける。それは凄い剣幕でね?当たり前だろ、年下の男の子を階段から突き落とした。長崎屈指の戦後初代マンションといえど、まだ、エレベーターはなく、キャロルにとって、その事件は自分を追い立てる事件になる。ここに住めないのではないのか?っていう処のね。我慢して棲みたい気持ちは母にはあったんだ。矢上神社の横は何かと古い慣習やしきたりがあるのではないのか?ってね。ここが観点になるよね、母は厳しいしきたりの元に少女時代を過ごしたからだ。あの敗戦で、そういうものが木っ端微塵に崩壊していたんだね。だから、矛盾も生じた。父の親族からすれば、呑めなかった。理解出来ない部分でもあったんだ。どうして海軍大佐の娘として育てられたはずなのにこうも礼儀に欠くのか??ってね。でも娘のキャロルには理解出来るんだ。母は、憎くて、脇田大佐を封印したのではなく、逆だったと・・・。つまりその美しい想い出を、誰にも汚されたくはなかった。だからこそ、封印したのだと・・・。お節介で、精神的に未熟なキャロルこそが勘違いしてたんだ。でなかったら、あの海軍将官写真集の大佐の写真を見せたときにあんなに大粒の涙を流すはずがないって・・・。