パラノイアシゲコは28年前のあの長崎市銭座町のマンションを思い出す。和室とキッチンがあり、一階にはカラオケがあって、キャロルの歌声には参ってしまって。酔っ払っちゃったという歌ともう一曲は、マドンナたちのララバイ、そして雨がやんだらも妻は歌った、それにしても演歌1本で来た自分には衝撃は凄くて大波を被ってしまった。その音楽の波の塩辛さがまた快感でもあった。雨がやんだら・・・という歌もキャロルが歌うとひとあじ違う。カバー曲のように蘇る♪そういった音楽方面の知識がいまいちのシゲコではあったが、少なくとも、既存の歌手の上前を跳ねると確信した・・・。ぷるるるるるる、ぷるるるる、ただいま留守をしています・・・・ええええ?また、留守電だ。このまま、おかけになった番号は現在使われておりません、番号を確かめてってならないか?先のこと、その最悪のことをすぐに想定して苦悶するのが手堅い人間の特徴であった。せめて、この際だからいっておこう。あとみっつを加えればいいのだ。ひとつは、パラドックス常用主義で、逆説的に考える。もうひとつ、楽観的にこう考える。自分はカプセルサウナが適合している。妻も別居を望む、このスタイルの長所にも目を向ける。そしてよっつめ、妻はそんじょそこらの人間ではなく自分たちバンカーより優れているのではないのか?能力的にも・・・という恐るべき観点でもあった。