サファイア・マン《面白い男編》〔5〕あまりに長くお預けにしていてはいけません。天才なら50年記憶の倉庫にあっても凡人そうはいかない。すると何を語るか?ってみんなは耳を澄ますでしょう。キャロルの特別仕立て二期二会です。この不幸の手紙をくれた彼のことも全然近くで顔を見ないまま噂だけで終わってしまうけれど19歳アルバイトした喫茶バンビに客として訪れるんですよ。知的な今で言うキャピキャピお嬢様と一緒でした。キャロルはハっとします。自分の人生はあらかじめ決まっているのでは?という処の予測です。あの本屋のローリーがロイヤル・ボックスに顧客としてビジターで来たときにはその予測が固まります。自分の人生は決定論を下敷きにして書かれてあってそれを神々のすう勢とも最近は称していますが当時はどんな生き方をしても自分の人生には意表を衝かれる人々との再共演は免れないし、なぜなら、本屋のローリーから暗示的とも言える言葉を聴きだすからでした。君がこんな処に働いているなんて一体どうしたんだ?驚くにも程があるっていうものだよ・・・失礼よ~こんな処っていう言い方こそ何よ~~ってキャロルはかわしますが、その後だったのです。君はこういう場所で終わる人ではないとはわかっているけれど危険極まる世界だよ・・・ああ、そうかあ~持ち前の明るさやざっくばらんが、ここでは役に立っているんだな。キャロルはすぐ他のテーブルに呼ばれ戻ろうとしますがもういません。彼はエリートの一行にいたけれど、どういう訳か挨拶を交わすことが出来た点でまたもや暗示を得るのです。偶然ではないんだよ?という示唆です。